ケータイショップでiPhoneを購入するとき、ウイルス対策ソフトを勧められたことはありませんか?
「最近はスマホを狙った新しいウイルスがどんどん増えています。ウイルス対策ソフトがあれば、最新の脅威からも守れますよ」と言われると、不安になってしまいますよね。
実は、iPhoneは基本的にウイルスに感染しにくい構造になっているため、ウイルス対策ソフトは基本的に不要です。
しかし、まったくリスクがないわけではなく、気をつけるべきポイントもあります。
- iPhoneがウイルスに感染しにくい4つの理由
- iPhoneがウイルスに感染する可能性がある4つのケース
- ウイルス感染を防ぐための7つの方法
この記事では、ウイルスはもちろんのこと、iPhoneでセキュリティ上のトラブルに巻き込まれないための対策を徹底解説しています。
「iPhoneにウイルス対策ソフトは必要?」と悩んでいる方は、ぜひ最後まで読んでみてください!
iPhoneにウイルス対策ソフトは必要なし

結論から言うと、通常の使い方をしている限り、iPhoneにウイルス対策ソフトは不要です。Appleの厳格なセキュリティ設計により、一般的なウイルスはiPhoneには侵入しにくくなっています。
その理由は以下の通りです。
- App Storeの厳格な審査:ウイルスを含むアプリは公開されにくい
- サンドボックス技術:アプリごとに独立した動作環境があり、他のアプリに干渉しない
- iOSの一斉アップデート:全ユーザーが最新のセキュリティ対策をすぐに適用できる
ただし、後述するように「完全に安全」というわけではありません。
特定の条件下では、ウイルス感染や情報漏えいのリスクがあるため、しっかりとした対策が必要です。
①App Storeの厳格な審査で不正アプリを排除
iPhoneのアプリは、Appleの「App Store」を通じてのみインストールできます。
App Storeにアプリを公開するには、Appleの厳格な審査を通過する必要があり、ウイルスやマルウェアを含むアプリは排除される仕組みになっています。
- アプリのコードを審査(ウイルスや不正な挙動がないかチェック)
- プライバシーポリシーの確認(個人情報を不正に収集しないか審査)
- 定期的な監視と削除(悪意のあるアプリが発見されると削除される)
このため、Androidの「Google Playストア」と比べて、不正アプリの混入リスクが低い点がiPhoneの強みです。
しかし、脱獄(Jailbreak)したiPhoneでは、App Store以外の非公式ストアからアプリをインストールできるため、ウイルス感染のリスクが一気に高まります。
②Appleのサンドボックス技術がウイルスを防ぐ
「サンドボックス(Sandbox)」とは、アプリが動作する環境を隔離し、他のシステムやアプリに干渉できないようにする仕組みです。
iPhoneでは、各アプリがサンドボックス内で実行されるため、仮に悪意のあるアプリをインストールしてしまっても、他のアプリやシステムデータにアクセスすることができません。
- ウイルスが他のアプリに感染しにくい
- データの流出を防ぐ
- 不正なプログラムがシステムに影響を与えにくい
一方で、Androidではアプリ間のデータ共有が柔軟に行えるため、ウイルスが他のアプリに感染しやすい環境になっています。
③iOSの迅速なアップデートで脆弱性を修正
Appleは、iOSのセキュリティアップデートを全ユーザーに一斉配信できる仕組みを採用しています。
これにより、新しい脆弱性(セキュリティの穴)が発見された場合、すぐに修正され、ウイルス感染のリスクを最小限に抑えられます。
項目 | iPhone(iOS) | Android |
---|---|---|
アップデートの提供方法 | Appleが全ユーザーに一斉配信 | 各メーカーごとにバラバラ |
セキュリティ対策の適用速度 | すぐに適用可能 | 機種によっては数ヶ月遅れる |
古い機種のサポート | 5年以上対応することが多い | 2〜3年でサポート終了 |
このように、Appleは長期間にわたって迅速なセキュリティアップデートを提供するため、古いiPhoneでも安全に使用できるのが特徴です。
一方、AndroidはメーカーごとにOSアップデートの提供時期が異なり、古い機種ではセキュリティパッチが適用されず、ウイルスの標的になりやすいのが課題です。
iPhoneとAndroidのウイルス感染リスクの違い
項目 | iPhone(iOS) | Android |
---|---|---|
ウイルス感染のリスク | 低い | 高い |
アプリのインストール経路 | App Storeのみ(厳格な審査あり) | Google Play+野良アプリストア |
サンドボックスの厳格さ | 強力(アプリ同士の干渉不可) | 一部アプリは他のアプリとデータ共有可能 |
このように、iPhoneは「サンドボックス」や「App Storeの審査」によって、Androidよりもウイルス感染のリスクが低くなっています。
それでもiPhoneがウイルス感染するケースとは?
ここまでの説明のとおり、iPhoneはウイルスに感染しにくい仕組みになっていますが、以下のような状況では感染リスクが高まります。
- 脱獄した場合
- 悪意のあるプロファイルをインストールした場合
- フィッシング詐欺に引っかかった場合
- 信頼できないWi-Fiに接続した場合

脱獄した場合
Appleの制限を解除する「脱獄(Jailbreak)」を行うことで、非公式のアプリストアから自由にアプリをインストールできるようになります。
しかし、この行為によって、ウイルス感染やハッキングのリスクが急増します。
- Appleのセキュリティ対策が無効化される
- 悪意のあるアプリをインストールしやすくなる
- 個人情報やパスワードが盗まれる可能性がある
悪意のあるプロファイルのインストールした場合
iPhoneの「プロファイル」とは、特定の設定を変更するための構成ファイルです。
これは企業や学校がWi-Fi設定やメール設定を簡単に適用するために使われますが、悪意のあるプロファイルをインストールすると、個人情報が盗まれたり、iPhoneを遠隔操作される危険があります。
- 公共の無料Wi-Fi(カフェ、空港、駅など)で「接続にはプロファイルのインストールが必要です」という表示されインストールしてしまう。
- 「あなたのiPhoneがウイルスに感染しています」「セキュリティの問題が発生しました」といった偽メッセージに誘導され、リンクをクリックしてインストールしてしまう。
- 街中やSNSにある偽のQRコードを読み取った際に、プロファイルをインストールしてしまう。
正規のQRコードの上から悪意のある人がQRコードを貼り替えられると、何の警戒もなくインストールしてしまうケースが多いと思います。
身に覚えのないプロファイルは(設定→一般→VPNとデバイス管理)から削除することが大切です。

フィッシング詐欺に引っかかった場合
フィッシング詐欺は、正規の企業を装ったメールやメッセージを用いて、個人情報を盗みとる詐欺の手口です。
最近のフィッシング詐欺は、本物と見分けがつかないほど巧妙化しており、手口を見破るポイントを知っておくことが必要になります。
iPhoneのウイルス感染を防ぐための対策
iPhoneはウイルスに感染しにくい設計ですが、100%安全というわけではありません。
フィッシング詐欺や不正なプロファイルによる攻撃には、ユーザー自身の注意が必要です。
以下の7つの対策を実践すれば、iPhoneをより安全に利用できます。
- アプリはApp Storeからダウンロード
- iOSの最新アップデートを適用
- Safariの詐欺Webサイト警告をON
- 不審なリンクを開かない(フィッシング詐欺に注意)
- Apple ID の 2 ファクタ認証を有効にする
- パスワード管理アプリを導入する
- フリーWi-Fi利用時の重要情報の入力を避ける
① アプリはApp Storeからダウンロード
AppleのApp Storeでは厳格な審査が行われており、不正なアプリが公開されることはほぼありません。
しかし、脱獄(Jailbreak)したiPhoneでは、非公式のアプリストアから危険なアプリをインストールする可能性があるため注意が必要です。
② iOSの最新アップデートを適用
Appleは定期的にiOSのセキュリティアップデートを配信し、新たに発見された脆弱性を修正しています。
古いiOSのまま使用していると、ウイルスやハッキングのリスクが高まります。
③ Safariのセキュリティ設定を強化

iPhoneの標準ブラウザ「Safari」には、セキュリティを高める設定がいくつかあります。
特に「詐欺Webサイトの警告」を有効にすると、フィッシング詐欺の危険があるサイトを開く前に警告が表示されます。
④ 不審なリンクを開かない
ウイルス感染やフィッシング詐欺の多くは、メールやSNSに送られてくる不審なリンクをクリックすることで発生します。
- Amazonや楽天を装う「購入確認メール」
- 宅配業者(ヤマト運輸・佐川急便・日本郵便など)を装った不在通知
- AppleやGoogleを騙る「アカウントの異常ログイン」通知
- 銀行やクレジットカード会社を装った「緊急通知」
ちょうどAmazonで購入した翌日や、宅配便が届くタイミングで詐欺メールが送られてくると、ロゴの見た目では本物と見分けがつきにくくなります。

私が必ず実践している確認方法は、差出人のメールアドレスを確認することです。
具体的には、差出人の表示名をクリックして、メールアドレスを確認します。
本物のAmazonであれば「・・・@amazon.co.jp」、本物の宅配便であれば「・・・@kuronekoyamato.co.jp」「・・・@sagawa-exp.co.jp」など正規のドメインを使用しています。
しかし詐欺メールの場合は明らかに不自然なドメインを使っていたり「・・・@gmail.com」などフリーメールを使っていることが多いです。
⑤ Apple ID の 2 ファクタ認証を有効にする

Apple IDが乗っ取られると、iCloudのデータや個人情報が流出するリスクがあります。
「2段階認証(2FA)」を設定すると、新しい端末でApple IDにログインしようとしたときに、本人確認のコードが必要になります。
これにより、第三者による不正ログインを防ぐことができます。
すぐにログインできないため、正直なところ面倒に感じるかもしれませんが、非常に効果的なセキュリティ防衛手段になります。
【設定方法】「設定」→「自分の名前」→「サインインとセキュリティ」→「2ファクタ認証」をON
⑥ パスワード管理アプリを導入する
万が一、フィッシング詐欺などによってApple IDのパスワードが流出してしまった場合、すぐにパスワードを変更することが重要です。
パスワードにはパスワード管理アプリの利用を強くおすすめします。
なぜなら、人が手動でパスワードを管理するのは面倒で、使い回しの原因になりやすいからです。

おすすめのパスワード管理アプリは「Bitwarden」。
完全無料で使えて、iPhone、Android、パソコンのあらゆるブラウザを一元管理すが可能です。
強力なパスワードの作成、自動入力の有無を選択できるなど、無料とは思えない高性能です。
オープンソースで開発されており、信頼性も抜群です。
正直なところ、初めて導入する際には手間がかかり、インターフェイスを理解するのに時間が必要かもしれません。また、今までのパスワードの移植にも時間がかかります。しかし一度導入してしまえば、少ない労力で安全にデバイスを利用できるようになります。
導入時の分かりやすさを重視するなら「1Password」がおすすめです。
2005年からパスワード管理アプリを提供しており、長い歴史と確かな信頼があります。全世界で多くのユーザーがいる人気のサービスです。有料アプリですが、安全性と分かりやすさを重視するなら有力な選択肢となります。
⑦ フリーWi-Fi利用時の重要情報入力を避ける
カフェや空港などで提供されるフリーWi-Fi(無料Wi-Fi)は便利ですが、悪意のあるWi-Fiを利用すると、個人情報が抜き取られる可能性があります。
一目で、悪意のあるフリーWi-Fiかどうかを判断するのは難しいため、オンラインバンキングやクレジットカードの入力は避けるのが賢明です。
どうしても心配な方は、通信を暗号化できるVPNサービスを利用するのも一つの手です。
また、VPNを利用すると他の国のサーバーを経由してインターネットに接続できるメリットもあります。

まとめ
この記事を書くきっかけは、私の母がケータイショップで「ウイルス対策ソフトが必要」と言われて、毎月課金しているのを見たことです。
ケータイショップが一概に悪いとは言いませんが、割高なサービスを勧められることがあるのは事実です。
- iPhoneがウイルスに感染しにくい4つの理由
- iPhoneがウイルスに感染する可能性がある4つのケース
- ウイルス感染を防ぐための7つの方法
iPhoneはウイルスに感染しにくい設計になっていますが、油断は禁物です。下記の7つの対策を実践すれば、ウイルス感染やフィッシング詐欺のリスクを大幅に減らせます。
- アプリはApp Storeからダウンロード
- iOSの最新アップデートを適用
- Safariの詐欺Webサイト警告をON
- 不審なリンクを開かない(フィッシング詐欺に注意)
- Apple ID の 2 ファクタ認証を有効にする
- パスワード管理アプリを導入する
- フリーWi-Fi利用時の重要情報入力を避ける
しっかり対策をして、安心してiPhoneを使いましょう!